一

パリ20区、僕たちのクラスの一のレビュー・感想・評価

パリ20区、僕たちのクラス(2008年製作の映画)
3.8
移民や問題児の多い中学校を舞台に、傷つき反発し合いながらも、信頼を深めていく生徒たちの姿をドキュメンタリータッチで描く

パルムドール受賞作であり、原作者のフランソワ・ベゴドー自らが主演を務める

劇的なこともなければ明確な起承転結があるわけでもないので、地味と言われれば否定はできない
しかし非常に考えさせられるテーマを上手に扱い、パルムドールも納得できるほど素晴らしい映画だった

ドキュメンタリーと錯覚してしまうほどとにかくリアルに作り込まれていて、単純に面白いと言えるような作品ではないかもしれないけど、良く出来ている映画というのは間違いない

ブレブレのカメラワークに、フィクションとは思えないほど生徒の生き生きとした表情や細かな仕草を鮮明に捉え、学校という小さなコミュニティ内での問題点が徐々に浮き彫りになっていく
なにより教育現場だけでなく、移民国家としての社会の縮図や複雑な現実が生々しいほどリアルに映し出される

教師と生徒の掛け合いがいちいちリアルなので、ただの授業シーンそのものが秀逸な劇となり、生徒ひとりひとりのバックグラウンドが自然と頭に浮かび上がるような見事な脚本にひたすら圧倒される

キャストもみなさん素晴らしかった
ドキュメンタリータッチなカメラワークも相まって、生徒や教師の演技が未経験者とは思えないほどとにかくリアルで不自然さは皆無

テーマ的にはもろにパルムドールらしい映画ですが、全く敷居が高い作品ではないので気になった方は是非

〈 Rotten Tomatoes 🍅95% 🍿82% 〉
〈 IMDb 7.5 / Metascore 92 / Letterboxd 3.7 〉

2021 自宅鑑賞 No.150 GEO
一