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バロンののらのレビュー・感想・評価

バロン(1989年製作の映画)
4.0
本作の監督テリー・ギリアムはラ・マンチャの男を映画化したい事で有名だが、本作の原作にあたる『ほら吹き男爵の冒険(ミュンヒハウゼン男爵)』はプロット的にはラ・マンチャの男とほぼ同じで、テリー・ギリアムにとっては、ある意味で前哨戦と言った映画になっている。

本作はトルコに攻められようとしているドイツで『ミュンヒハウゼン男爵の冒険』という劇の上演中に本物のミュンヒハウゼン男爵が乱入して、自分ならトルコ軍を撃退できるその為には生き別れになった3人の従者が必要になると言って、サリー(まだ10歳のサラ・ポーリー)と月や地底に大魚の腹の中と大冒険を繰り広げ、最終的にはトルコ軍を撃退するのだけど、そこで今までのはすべてミュンヒハウゼン男爵の回想だったというラマンチャの男なんかと同じ現実と妄想の多重構造になっている。

この現実と妄想の多重構造というのは、未来世紀ブラジルやローズ・イン・タイドランドで度々使われていて、テリー・ギリアムのライフワーク的なテーマになっているて、先に上げた二作品が陰鬱な感じなのにたいして、本作はテリー・ギリアムの妄想作品の中では明るく、トルコの王が演奏し歌う拷問オペラといったモンティ・パイソン的なユーモアに溢れる作品に仕上がっていたり、モンティーパイソンのアニメパートで出てくるデブな女が実写で出てきたりと非常に楽しい作品になっている。

ちなみに本作には若いころのユマ・サーマンのヌードシーンがあるのだが、演技しているうちに衣装が微妙にずれてしまい右胸の乳輪がドレスからはみ出すという謎のシーンがある。
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