ひでやん

ハムレット・ゴーズ・ビジネスのひでやんのレビュー・感想・評価

3.7
シェイクスピアの悲劇「ハムレット」を現代社会に置き換え、企業の抗争劇を描くブラック・コメディ。

カウリスマキ作品でお馴染みのキャストが揃い、犬とロック・バンドが登場するが、他の作品と比べると異質な仕上がりになっている。

社長である父が毒殺され、未亡人となった母は叔父と再婚。叔父は会社を乗っ取ることを企て、それを阻止する息子ハムレット。彼が熱をあげているオフィーリアは父と共謀。

陰謀、欲望、復讐が渦巻くドロドロのサスペンス劇場が繰り広げられ、悲劇に次ぐ悲劇の果てに驚きのラストがある。

グラスを拭き取る場面は伏線として回収され、そして誰もいなくなった…。

労働三部作や敗者三部作のような哀愁や切なさはあまり感じられなかったが、シリアスな場面にユーモアが散りばめられていた。

ハムが大好きハムレット。
蹴りで流れるジュークボックス。
亡霊の顔色を気にするハムレット。
会議の横でお絵描きハムレット。
社運がかかった新製品のアヒルちゃん。
別れ話で返してもらうアヒルちゃん。
オフィーリアが沈む浴槽にアヒルちゃん。

シリアスな場面で「ぷぴっ」と鳴るアヒルちゃんに笑ってしまった。

クラウスが外した壁の写真は、「真夜中の虹」で 教会宿泊所の壁にかけた写真と同じだった。
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