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江分利満氏の優雅な生活のmingoのレビュー・感想・評価

江分利満氏の優雅な生活(1963年製作の映画)
4.1
「宮本武蔵なんて偉かないよ!だってあいつは強かったもん。ほんとに偉い奴は不器用でも一生懸命生きてるやつ!」

うわ〜オープニングのカットの繋ぎがもはや天才。カットの優秀さだったら、黒澤明を凌ぐと言われてる喜八の良さ全開。

お得意のアクションものではないが全体的に喜八らしさを残しつつ、半端ない大好物!!!監督本人が1番好きな作品らしいが、それもそのはず、唯のヒューマンドラマにとどまらない日常のドタバタを柳原良平(ついこの間亡くなったトリスハイボールのイラストレーター、「船の画集」が素晴らしいのでぜひみてほしい)が描く可愛らしいアニメーションや、♂♀の記号アニメ、透明人間、当時の戦争映像、様々な映像における手法が主演の小林桂樹の語り口とマッチしている。技術的な部分だけ観ているだけでも飽きない。

邦画オールタイムベストに入れたいくらい愛おしい本作は、(サントリー宣伝部につとめる)しがないリーマンである江分利(えぶり)満がふとしたことで小説を書くことになり、父のこと、妻子のことなど、平凡だが一生懸命な自分たちの人生を綴っていくのだが、とにかくただただ愛おしいのである。

ただ生きてるだけが映画になる。
映画作りてこういうことだよ、なんで美大生の頃観てなかったんだろうと後悔するくらいの傑作。

「酒と奥さん、公園、運動会、赤ん坊、ラインダンスも好きだね〜」おもわず自分も好きになってしまう錯覚に陥る。気持ちがこもる話し方ていうのはこういうのを言うんだね。重たいものがのっかってくる33歳だ、ていう台詞が先日三十路を迎えた自分にずっしりとのっかかる言葉だった。

僕も容姿がいいわけではないしお金はないし好きな人には振り向いてもらえないし出世とは縁のない人生だけど、不器用でも真面目に生きていこうとなおさら思った、、、仕事と映画と制作と、ときどきお酒。ハートのないやつ、ハートがわからないやつはおれも許せない!にしても、江分利満はくだを巻きすぎ…笑
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