江分利満氏の優雅な生活の作品情報・感想・評価

「江分利満氏の優雅な生活」に投稿された感想・評価

非常に愉快な映画。当時のサラリーマンの切々とした生活をユーモラスに、テンポよく描いており所々爆笑必至。一転、クライマックスの一人語りは気が滅入りそうだった。戦争の影をずるずると引きずらざるを得ない戦中派は切ない存在だ。
こんなに嫌味なく、フツーの、うだつのあがらない会社員を演じられるのは小林桂樹だけだろうなあ。
新珠三千代は相変わらず可愛い奥さん。
ちー

ちーの感想・評価

4.5
ビリーワイルダーに比肩する唯一の監督、というと岡本喜八に失礼でしょうか。戦争映画は誰でも撮れるが、戦争が終わった後も恥を晒しながら続く生活を撮れる人は少ない。誰にでもあてはまるようで、江分利満氏の「あんな時代はもう終わったんだ」という呟きはその最中にいた人間しか口にできない。
娯楽映画監督として真面目と不真面目の間を行き来しながらも絶対にクールであることを忘れない。途中の透け透け演出やストップモーションの使い方は相当カッコいい。聖典。
白黒邦画コメディ

とても面白かった
興味深いという意味でも面白かった

というのも戦後15年しか経っていない中
作中でアニメーションや特殊効果をふんだんに使って
それもわざとらしく多用するわけでもなく
かといって必要だから使うわけでもなく表現の1つとしてうまいところで使われている

言葉遊びも面白くテンポもとても心地いい、これは役者の力もかなりあると思うが

古い映画なのに古臭さを全く感じさせない

むしろ昨今の停滞したとさえ感じる邦画とは段違いに活き活きとした楽しさを感じる

この頃の方が邦画界には奇才が多かったのかもしれない


ただラストが少し冗長と言うか
そこまでと比較してテンポが明らかに落ちている気がしてちょっと残念な気持ち
・・・そして日本は高度経済成長へ 岡本喜八「江分利満氏の優雅な生活」

敗戦国日本に数多く生まれざるえなかった左翼的小市民の代表。
それが江分利満さん。
同じ敗戦国イタリアからはフェリーニの『甘い生活』が生まれたが勤勉実直を美徳する我がニッポンからはあのような気怠い風土が生まれるにはバブルまで待たねばなりません。
敗戦から生まれた日本イタリアのケッタイな2作品を比べてみるのも興味尽きぬ所です。
私が社会人一年生の頃、サラリーマンの大先輩として山口瞳は憧れの人でした。
サントリーの宣伝部の社員だった彼は婦人画報に書いた当作品の原作「江分利満氏の優雅な生活」によって直木賞を授賞しサラリーマン世界から作家人生に転身しました。
インテリジェンスに溢れ酒やギャンブルに滅法強いサラリーマン、当然のこと彼の書いた小説やエッセイも充分魅力的だっただめです。

山口のサラリーマン体験に基づく同名小説が元の本作。
主人公の江分利満氏、この不思議で魅力的なサラリーマンが好きです。

戦争を体験し戦後の復興期を支えたサラリーマンの気持ちをガンガン台詞にして観客に突きつけて来ます。
「あっ、それ解る。あっ、こっちも解る」といちいち拾っていたらきりがない戦後日本人のサラリーマンが感じていた多くの複雑な感情。
かつて"新人類"と呼ばれた世代の私のような人間が何故理解できるのでしょう?笑

例えば「酒と奥さん以外に好きなものは?」と問われて江分利は、公園、運動会、子供と答えます。
運動会は一生懸命な所がいい、一生懸命生きてる奴は強いと答えます。

"一生懸命"、ここですね。

小林桂樹は大正12年生れで山口瞳より二歳上。
江分利満つまり山口瞳つまりは戦争体験のある戦後成長期のサラリーマン世代の代表者。
一生懸命を熱く演じている訳でもないのにそれが隣にいるように感じさせます。
こういう人達が頑張ってくれたお陰で私達の今があるのです。
【古いのに新しさを感じる映画】

TSUTAYAの本を読んで、気になったので観賞。
だが、タイトルが読めない…。

えぶ…としみつ??
映画が始まってビックリ。
何と読みは(エブリ・マン)!

そんな江分利満の日常を描いた作品。

何か昭和っていいなあ。
憧れはありますよね。

汗びっちょりの右手に十円玉を握りしめ、
日曜の午後に貸本屋へ走る少年の姿など。

古き良き時代を感じさせます。
オジさん達が「昔は良かった」って言うのも少し頷ける。

作品の見所は、コミカルかつオシャレなカット割り。
アニメーションやストップモーションの使い方が、今観ても新鮮です。

「昭和」が好きな人にはオススメしたい一本です。
m

mの感想・評価

-
演出には遊び心がたくさんあるし、小林桂樹すげ めちゃくちゃよかった
小林桂樹ナレーションもうまい
途中で挟まれるアニメーションはサントリーハイボールのキャラクターと同じなのかな?

女版作るとしたら江分利梅(every women)だろうな…
映画男

映画男の感想・評価

3.5
川島雄三が撮る予定だった作品を川島の死後、岡本喜八が引き継ぎ監督したのがこれ。日本映画黄金期の秀作の一つだと思う。

平凡な家族持ちのサラリーマンの哀れな生活を、ユーモラスに描いたなかなか面白い映画だった。川島が撮っていたらもっと面白かったのかなと思ったのが正直の感想であるが、これはこれで見応えがある、おもろい映画。

女房役の新珠三千代が良かった。美人だが鼻に付く演技をしない健気な役者だったという印象。
岡本喜八の作品、毎回登場人物の表情や仕草が細やかで豊か。本当に演技なのかというぐらいに自然。お葬式の場面の気だるそうな人達のあくびを控えめにする仕草や目をギョロリとさせるとこ、外人記者がスケッチブックを取りに行ったシーンもクスリと笑えた。時代背景や過去の回想シーンに使われた柳原良平のアニメーションや愉快なストップモーションは良い意味で独立し過ぎていなくてこの作品のリズムにすごく合っていてより気持ちよくさせてくれた。個人的に好きなのは江分利がお茶漬けをかきこむシーン。箸のチャカチャカした動きや啜る動作で何か精神的なものが壊れそうな緊張感が張り詰める。直木賞をとった連絡をきいた息子の襖を破るシーンは個人的に圧巻だった。そこから調子に乗ってうざい人になる江分利の感じは好きではないけど、この映画の人間臭さを1番感じるところでもある。不器用なおっさん、それでいい。貧乏で嫁にいい思いをさせてあげられないから、優雅にお喋りをしている中年女性をムカつくぜと思う所が江分利の不器用な優しさを感じた。パーティーでの奥さんについて質問する女の少しいやらしい所も、女の人物描写もよかったなあ。迷走したら観ておきたい。

このレビューはネタバレを含みます

生まれてから関東大震災に昭和恐慌、15年戦争と苦労続きだった戦中世代サラリーマンの悲喜交々、とにかく語り口が見事 出来が良すぎてあんまり偉そうにして口出せない 強いて言うなら直木賞待ってる時の喰入り気味の正面ショットの切り返しは過激な小津、成瀬って感じがして好き 終わりも秀逸、当時の産業に対する目線が伺えていい
東野英治郎の「俺再婚するよ」とラジオのくだりで大昔、子供の頃見てたこと思い出した それくらい印象に残る作品
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