スカポンタンバイク

TAKESHIS’のスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

TAKESHIS’(2005年製作の映画)
3.3
やりたい事は分かるし、そこに対して真摯に作っている事もわかる。
ただ面白いかと言われると「うーん」って感じ。

話っていうのな無くて、要はスーパースタービートたけしとコンビニ店員の北野武が内面的に同化して、そのパラレルワールドを巡るという映画で、北野武映画だと「3-4X10月」の発展系という感じ。「3-4X10月」の主人公もビートたけしが演じてる結果、誰の主観映像なのかが曖昧になってるというのが、今作が発展系と思う所。
こういう芸事に対する葛藤というと、イングマール・ベルイマン「仮面/ペルソナ」や、フェデリコ・フェリーニ「8 1/2」、コーエン兄弟「バートン・フィンク」など、映画作家と呼ばれる人たちだと撮りがちなジャンルなのだが、それらと比べた時に今作だけにある面白さというのを見出すのが難しい。自由発想をそのまま映像化して繋げてしまうという手法についても、ビートたけしがテレビでやってるような小ボケ・ショートコント集の域を出ないものばかりで、映画として観ていて面白いかと言われると微妙。洗練されていないオフビートさが行き過ぎていて、単に退屈って事になってしまってると思った。

北野武の暗黒期と向き合う意味で観てみたが、別に酷いという事はなかった。ただ、面白くはない。この後の「監督・ばんざい!」と「アキレスと亀」はどうなるか。