リッキー

私がクマにキレた理由(わけ)のリッキーのレビュー・感想・評価

3.7
955本目。190215
パッケージの写真と本作品のタイトルでは全く内容が想像できないまま、ヒロイン観たさに選びました。鑑賞後、謎だったタイトルは配給会社や宣伝会社が苦心した邦題なのだとしみじみ思いました。原題の「THE NANNY DIARIES」、つまり「ナニーの日記」のままだと興味が沸きにくいですからね。

母子家庭で育ち、優秀な成績で大学を卒業したアニー(スカーレット・ヨハンソン)は、ゴールドマン・サックスの面接で大失敗して就職戦線から脱落してしまいます。途方に暮れる中、偶然、公園で少年グレイヤーが事故にあいそうなところを間一髪救ったことから、思わぬ道が開けます。感謝した母親が、「アニー」と「ナニー(子守を専門にする職業)」を聞き間違えたことにより、グレイヤーの子守を依頼されてしまうのです。
アニーはナニーのバイトをしながら自分探しを始めることになりますが、ニューヨークのセレブママたちの傲慢不埒な態度と、どこかおかしな子育ての様子に触れ、アニーは次第に上流階級の日常に対する違和感を覚えていきます。

「ナニー」、すなわちプロのベビーシッターの需要は、これからの日本でも増えることが確実ですが、現在はまだ短時間の利用、またはごく一部の富裕層に限られているかもしれません。しかし欧米では普及している職種のようで、イギリスでは国家資格になっています。
本来のナニーの目的は育児を助けることが主で、ただ預かるだけでなく情操教育やしつけも行うものです。客観的に子供の成長に合わせて能力を引き出し、子育てに関する親の悩みに対して客観的なアドバイスも行うのですが、作品でのセレブママは子育てより自分磨きに時間を割いてしまいます。

主演のヨハンソンが田舎出身の素朴な女性を演じていて、自然体で表現したところが見どころなのですが、一番印象に残ったのはセレブママ:ミセスXことローラ・リニーでした。アニーに育児をまかせっきりで、自由奔放のように見えますが、彼女も気の毒に思えてしまいました。
食べ物は無添加、子供は有名学校へ、美しさを保つために日々のエステ通い、彼女は夫の機嫌を損なわないように必死なのです。そうやってセレブの奥様の生活が成り立っており、上流社会では当たり前のようです。もちろん、一番の被害者は親の都合で振り回されている子供ですが、彼女も自分を見失ってしまった被害者のように映りました。

アリシア・キーズが役者として出演しているのには驚きました。アニーの友達役でしたが、自然な演技に好感をもちました。
それからキャプテンとブラックウィドウがアベンジャーズ以前に共演していたことも知りませんでした。
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