リッキー

ナイトクローラーのリッキーのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
4.0
1016本目。190531
「ナイトクローラー」といえば、 X-メンのミュータントを連想してしまいますが、ジェイク·ギレンホール主演のパパラッチの物語です。演技に定評がある俳優なので楽しみに鑑賞しましたが、役になりきるための憑依の仕方が見事でした。

学歴もなく、 全うな職業に就いたこともないルー(ジェイク) は自分を売り込むために平気で嘘をつくような利己的な人物です。ある日、彼は交通事故を撮影しているカメラマンを目撃し、この仕事に興味を持ちます。安いカメラを手に入れカメラマンとなったルーは、水を得た魚のように生き生きと職務をこなしており、天職に巡り合えたようです。
しかし彼の仕事ぶりは倫理を無視しており、とても周りから賛同を得られるような手法ではなく、彼を快く思わない人にとっては、ルーがカメラをまわしている様子にとてつもない狂気を感じると思いますが、逆に見方を変えれば自信に満ちあふれて、誇らしげな顔をしているようにも見えます。
彼にとってカメラマンは当初は生計を立てる手段でしたが、スクープ映像を何本か撮れるようになり、元々の地頭の良さも幸いして、さらに彼は自分の存在価値を高めるために徐々に事業を拡大していきます。…

本作は人間の深層心理を「パパラッチ」という職業に例えて表現していて、たいへん興味深い内容でした。
ある著名人が「TV番組の視聴率は幸せな映像では稼げない。視聴者は不幸であればあるほど興味を持つのだ」というようなことを話していました。悲しい哉、これが世間の反応であり、現実なのでしょう。

余談ですが先日、私の自宅近所で火事がありました。たまたまその付近を車で通りかかった時、早朝であるにも関わらず多くの人が火災の現場に向かっていたことが思い出されます。見物人の中にはスマホで撮影していた人もいました。
多くの人々がスマホを所有し、気軽に撮影でき情報を瞬時に発信できる時代、群集心理が働き無責任な行為が横行し、プライバシー、肖像権が守られなくなっています。
厳しく監視できる体制作りが急務かと思われますが、今のところユーザーのモラル頼みで期待はできませんね。
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