リッキー

ワンダー 君は太陽のリッキーのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
3.9
1020本目。190705
10歳のオギーは遺伝子の疾患のために見た目が他と異なり、27回も整形手術を繰り返してきました。彼はそれまで学校には行かずに自宅で学習してきましたが、5年生となったことを契機に学校に通うことを決意します。両親と姉は初登校日には校門で見送りますが、初めての学校で、それも顔にコンプレックスを持つ子供を送り出す気持ちは・・・オギー本人以上に不安だったのではないでしょうか。

子供たちの反応はストレートです。クラスメイトたちは遠巻きにオギーを「観察」し、悪態をつく子供までいました。オギーの学力は全般的に優れているようですが、特に科学の力が秀でています。周りから孤立して消極的になりそうなオギーに、父が「理科の授業だけは我慢しないで、どんどん発言するように」とアドバイスしていましたが、このように声をかけることで彼の自尊心を育んだことは、素晴らしい教育だと思われます。子供たちから一目置かれ、認められるようになったことでオギー本人の自信にもなりました。順応が早いのも子供たちの特徴です。次第に賢くてユーモアもあるオギーの「人間力」に魅せられ、1人、2人と彼の味方が増えていきます。そして彼を傷つけようとする相手に対し、本気になって戦ってくれる友達もできました。その行動は‘障害があるオギー’をかばったからではなく、‘対等な仲間’であるオギーが不当な差別を受けたからなのです。

オギーは学校で様々な経験をし、いろいろな人へ影響力を与えたことでその学年の賞をとるほどまでに成長しました。差別を克服して、学校生活を楽しんでいるオギーの姿に感動し、両親がこの学校に入学させたことは間違っていなかったことがわかり、ホッとしました。しかし世の中にはオギーのような例だけでなく、 身体的または学習障害等により学校生活で苦しんでいる子供たちはたくさんいます。オギーの場合はあくまでも本人の資質、周囲の条件に恵まれて成功したレアケースであり、 他の子供も同様に克服できるかは難しいのかもしれません。 学校での「いじめ問題」がある限りは決して楽観視してはいけないようにも思えました。

また、この家族のケースでは仕方がないように思えますが、 終始オギーにばかり目をかけていたため、姉には同等な愛情を注ぐことができていなかったことも露呈します。それでもグレることなくオギーを応援するお姉ちゃんに「あっぱれ!」をあげたいです。

将来、すべての子供から大人まで、互いの「個性」を認め合い、差別の存在しない世の中になることを期待したいと願うばかりです。
リッキー

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