sanbon

127時間のsanbonのレビュー・感想・評価

127時間(2010年製作の映画)
4.0
127時間は、アウトドア大好きの青年アーロンが、落岩事故に遭い右手を挟まれてから、救出されるまでの5日間を描いた、2003年に実際に起きた事故を基に作られた作品。

結論から言うと、この作品は声を大にしてオススメしたい作品になりました。

まず、127時間のスゴい所は、登場人物がほぼ主人公一人で、ほとんどが渓谷のショット、つまりワンシチュエーションのみ、なおかつ主人公は身動きの取れない状態で、物語が進んでいくという点。

しかも、この展開に乏しいプロットは、ほぼ100%予想通りの結末にしか辿り着かず、それで一本の映画を堂々と作り上げてしまう、ダニーボイル監督の技量には、本当に感服しました。

主人公のアーロンは、身体能力が高すぎて、何処へでも一人でズカズカと先へ進んで行ってしまう、自信過剰タイプ。

しかも、自分の能力に絶対的な自信を持ってるから、連絡手段になりそうな物や、自分の居場所すら誰にも告げる事無く、この大惨事が起きてしまう…つまり、この世界に、彼の居場所を知っている人物は、誰一人居ない状況に置かされてしまう、まさに極限状態という訳だ。

そして、この作品の更にスゴい所は、この絶望的で最低最悪の状況を、決して悲観的に描いていないという所。

アーロンは、極限状態の中でありふれた日常の大切さ、日常を何不自由無く暮らしていける事の尊さ、本当に愛する存在に気付き、生きている事の奇跡を実感しはじめる。

そして、未来への希望、生きる事を諦めない気持ちが、ある決断をさせるのだが、その行為は上辺だけを見てしまうと、とても悲劇的な選択なのだが、ダニーボイル監督はそれを、とても前向きに表現している。

そして、アーロンの命が繋がる瞬間、僕は涙で頬を濡らしていました。

もし、今人生の壁にぶち当たっていて、生きている事に疲れている人が居るなら、この映画を強くオススメしたいです。

きっと、明日を迎える勇気が沸いてくるから。

そして、これが実話だという事を決して忘れないでいてほしい。
sanbon

sanbon