こたつむり

閉ざされた森のこたつむりのレビュー・感想・評価

閉ざされた森(2003年製作の映画)
3.7
★ 下人の行方は、誰も知らない。

「ジャングル奥深くで軍事訓練が行われた。
しかし、そこで生き残った者は二人だけ。
はたして、その場所で何が起きたのか…?」

いやぁ。これがミステリ映画ですね。
謎を提示し、それを紐解くように証言を集め、検証して推理する…この流れがしっかりと構築してあるので、頭をフル回転させることが出来るのです。

しかも、物語のテンポが速いですからね。
登場人物たちの名前で躓くと混乱するほどにガンガンと攻めてきますから、充実感が段違いなのですよ。個人差が激しい感覚だと思いますが、僕は心地良く感じました。

そして、物語を描く筆致も硬派一択。
男女関係のヌルヌルした絡みはありません。やはり、ミステリに色恋沙汰は無用。論理だけで構築されているから“謎解き”に没頭することができました。

ただし、その反面。
登場人物たちを掘り下げるような描写は皆無。
「主人公に共感したい」なんて思っていると物足りなく感じるかもしれません。

しかし、主演がジョン・トラボルタですからね。一癖も二癖もある雰囲気が最初から漂っているので「感情移入はしないでね」と製作者側も言いたかったのかもしれません。それにしても丸坊主姿が似合わない御方ですな(役名がトム・ハーディなのも、今から思えば面白いですね)。

ただ、地味なタイトルは間違いなくミステイク。ミステリ好きに訴求するような邦題にしていれば…もう少し知名度が上がったのじゃないでしょうか。物語の骨格は“某有名映画”と同じ。期待を煽りすぎるのは良くありませんが、地味すぎるのも微妙なところ。邦題って難しいですね。

まあ、そんなわけで。
低予算ながらも完成度が高い秀作。
最後の最後まで予断を許さない物語なので『ボレロ』の旋律を耳にしながら真相を反芻する…そんな体験をお望みならばオススメです。
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