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ダンディー少佐のHKのレビュー・感想・評価

ダンディー少佐(1965年製作の映画)
3.6
サム・ペキンパー監督が製作サイドと揉めて干されたいわくつきの作品。
昔、TVの洋画劇場(約95分版)で数回観ましたが今回観たのはエクステンディッド・バージョン(DVD発売時に買ったまま放置してました)で約136分版。

劇場公開版(123分版)は勝手にペキンパーの意図に反してカット・編集されまくったらしく、ペキンパーは生前「これはオレの作品ではない」と言っていました。
今回観たバージョンはほんの少し監督の意図に近づいていると言われますが、それについての本人のコメントは残っておらず、本当のところは不明です。

あらためて観ると南北戦争が背景の大掛かりな作品で、かなりの大作だったことがわかります。
作品全体のバランスの悪さは置いとくとしても見応えのあるシーンは多く、西部劇の異端とも言われるペキンパーが実はジョン・フォードを敬愛する正統派の面も持った監督であることも伺えます。
また同時に、覚醒する前なのでお得意のスローモションこそありませんが、傑作『ワイルド・バンチ』以降の独特のスタイルの片りんもチラホラ・・・。

ところで、今回観たバージョンでは聞きなれた“ダンディー少佐のマーチ”(ミッチ・ミラー合唱団)が一切流れず、音楽がまるごと差し変わっていてアレッ?と耳を疑いました。
ペキンパーは当初からこの能天気なテーマ曲を嫌っていたというのが理由だそうですが、聞きなれているこちらとしてはちょっと拍子抜けです。
今思えば、95分に短縮されたTV版はテンポが良かった(?)ため、このマーチが本来以上に合っていたのかもしれません。

主演は北軍の騎兵隊少佐にチャールトン・ヘストン。さすが当時のスターらしくどのシーンもポーズがキマッテいます(ペキンパーはそれが気に入らなかったようですが)。
主役を食う勢いの南軍大尉リチャード・ハリス(初代ダンブルドア校長)の役は当初スティーブ・マックイーンの予定だったとか。
ジム・ハットン(あのティモシー・ハットンの父親)演じるたった一人の砲兵も儲け役。

後のペキンパー作品には欠かせない常連組も勢ぞろいしていて嬉しくなります。
ベン・ジョンソン、ウォーレン・オーツ、スリム・ピケンズ、L・Q・ジョ-ンズ、R・G・アームストロング・・・

そして、後にペキンパーの最高傑作ともいわれる『戦争のはらわた』で再共演することとなるジェ-ムズ・コバーンとセンタ・バーガーの存在感もさすがでした。
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