唯

エヴァの匂いの唯のレビュー・感想・評価

エヴァの匂い(1962年製作の映画)
3.4
「相手は自分を映す鏡」とはどういう原理かと謎だったが、相手と関わる中で相手の中にある自分に似た部分を引き出してしまうということなのか。
タイヴィアンの挑発性・加虐性なんかは、エヴァが引き出しているのだろう。
彼女にそうした性質があるから、自分も出しても良いと許可しているのかも。

「女と一緒にいた。僕はこういう男だ。僕は女が好きなんだ。変わることはできない」と言ってしまうタイヴィアン。
自分に対する驕りが半端ないのだけれど、それは自信のなさから来るものか。
元炭鉱労働者というコンプレックスが彼を包み、更には自分はゴーストライター的な作家であり、才能も力も何もないと自覚している。
恐らくフランチェスカの様な真っ当な人間から愛される資格はないと潜在意識が感じていて、だから自分を破滅させる女の元へ走ってしまうのだろうなと。
フランチェスカとのタイミングの噛み合わなさは辛いところだが。

結婚式も葬式も、ゴンドラで行き帰りするのがヴェネチアらしくて素敵!
鏡越しに映したり上から舐める様に撮ったりとカメラワークも最高だし、ミシェルルグランの急き立て煽り立てる音楽も素晴らしい。

男も女も金で愛を測ろうとするが、金を絡ませると愛は埋もれてしまうのよね。
そもそもそうでしか測れないものは愛ではない。
唯