松田

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズの松田のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

クレヨンしんちゃんって子ども向け映画なんだろうけど子供騙しじゃないっていうか、この年齢になっても笑えて泣けるアニメ映画だなって思う。
ひろしが馬から汽車に飛び乗ろうとしたけど結局引きずられちゃうシーンと、みさえが役に立ってないレンタルビデオ屋の店長に暴力を振るうシーンはおもしろすぎて何回か反芻して見た。
かざまくんが汽車から落ちちゃった時、迷わず降りたんだろうしんちゃん、ねねちゃん、ぼーちゃん、おにぎりくんに思わず涙が出た。友情じゃん…。

まず設定・導入のSF感がかなり良い。完成してほしい映画と、今はもう廃業してしまった映画館が人を呼んで映画の中に飲み込む。
最初はおにごっこから始まり、いつものクレヨンしんちゃんって感じするけど、廃映画館を見つけてから映画に飲み込まれるまでの非日常な不気味さがめちゃめちゃ良い。映画に取り込まれたあと時間を取り戻すシーンもよかったなあ〜。時間が進まないと元いた場所の記憶を失う、っていうのも異世界系あるあるでとても良い。

映画の中の登場人物でも映画を終わらせることに肯定的な人もいるんだなと思った。けどそれはもしかすると映画を終わらせたいわけではなくて、そもそも悪(ジャスティス)に立ち向かうキャラクターとして作られた人だからなのかもしれない、と思うと若干の切なさを感じた。自分の意思じゃないんだろうなあ、みたいな。いやでも、ジャスティスは映画を終わらせたくない「自分の意思」みたいなものがあったから、もしかすると他のキャラクターにも意思はあったのかもしれない。それこそ椿ちゃんにも。

椿ちゃんは最初、映画に飲み込まれた側の人間だっていうミスリードがあった。でもそれは「そういう設定のキャラクター」だっただけで、本当は映画の中の登場人物だった。たぶん椿ちゃんもそれは気づいていたと思う。しんちゃんが「これで一緒に帰れるね」って言った時、肯定してなかったのがとても残ってる。

終わり方というか、映画の終わらせ方もメタ的でめちゃめちゃいい。こういうメタ感って最近はあんまないような…。(最近の映画そんなにみてないけど)平成初期感ある。

椿ちゃんがこの世の人間ではなく、映画の中のキャラクターと知った時のしんちゃんが切ない。わかるよ。わたしも恋した人が二次元キャラクターなことに絶望してたから。

あと当時は「怖いなあ」くらいにしか思ってなかったんだけど、バー?みたいなとこでひろしが周りのカウボーイたちに詰められてる時、ずっとヒゲのことディスられてたのが笑った。ヒゲでこんな言われるんだ?って思った。
松田

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