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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズのLEOのレビュー・感想・評価

3.9
ある日、廃屋になった映画館「カスカベ座」の中で荒野が映し出されているだけの映像を観たカスカベ防衛隊と野原一家は、気が付くと映像と同じ何もない荒野に立っていた。
そこで春日部への帰り道を探し出す野原一家だったが、荒野を彷徨った末にたどり着いたのは時間が止まった街「ジャスティスシティ」だった。
春日部に帰る方法ただ一つ、この世界における悪役・ジャスティス知事を倒し、平和を取り戻して映画をハッピーエンドにする事。
はたして時間が止まり記憶を失ったカスカベ防衛隊は、ジャスティス知事を倒すことはできるのか?という話。

映画クレヨンしんちゃん好きとして言うと、人気上位3作品(「オトナ帝国」「戦国大合戦」「ロボとーちゃん」)と他の作品の大きな違いは、前者はストーリーの根幹はもちろん、問題の解決法とそこにたどり着いた理由までしっかりと辻褄が合っていて、一部の見せ方だけ省いても問題ないところは子供向けに省いてお茶ラケており、後者はストーリーはしっかりしているが、問題の解決法まで子供向けの単なるおふざけにしてしまう所だ。

それで言うと本作は残念ながら後者。
酒場での乱闘や抑圧された市民の解放劇など西部劇の定番を押さえた太陽が動かず時間が止まったエンドレスの世界で、いるだけで少しずつ記憶を失っていくという重めのテーマのしっかりしたストーリーなうえ、水野晴郎、クリント・イーストウッド、ジョン・ウェイン、ユル・ブリンナー、クラウス・キンスキー等々を登場させ、『夕日のガンマン』、『荒野の七人』、『赤狩り』などのパロディを盛り込むなど、もう「ターゲットは大人なの?」と聞きたくなるくらいなのに、解決策が土に埋まった巨大木製ロボットと赤いパンツをはいて空を飛ぶ5歳児5人組ってバランスが悪すぎないか?

上位3作品に並ぶくらい根本ストーリーがいいだけに非常に残念。
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