シュトルム凸映画鑑賞記録用改め

黄昏のシュトルム凸映画鑑賞記録用改めのレビュー・感想・評価

黄昏(1981年製作の映画)
4.0
またまたキャサリン・ヘプバーン。年老いても魅力が衰えませんね。むしろ性格に丸みが出て来て、可愛くなっていくぐらいの印象がある、元はキツそうな女性ですからね(笑)
ジェーン・フォンダが父ヘンリー・フォンダにアカデミー主演男優賞を取らせたいがために、キャサリン・ヘプバーンに出演を懇請したという逸話は事前に知っていた。作中で描かれるような父と娘の確執が現実にもあった、というのは試聴後に知った。
きらめくような黄金の池、畔に建った別荘に今年もヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーンの老夫婦がやってくる。ヘンリー・フォンダは毒舌で攻撃的だが妻にだけは優しい。依存しているといっても良い。老いが彼に迫り、衰えは夫婦に影を落とす。娘のジェーン・フォンダが新しい恋人を伴い訪ねてくる。娘はなぜか父をファーストネームで呼ぶ、父を憎むが愛して貰いたいと思っている。娘と恋人は欧州に旅立ち、義理の息子を老夫婦に預ける。
この十三歳の少年の存在が、老人に良い影響を与える。マス釣りを教え、湖のヌシを釣ろうとする。悪魔の湾と呼ばれる暗礁に乗り込んでいく。岩だらけの湾は人生の象徴のようだ。老人と少年はなんとかそれを乗り切る。輝くような若さと黄昏のような老いの対比。
娘が少年を連れに戻ってくる。ジェーン・フォンダは父を非難するのではなく、その頑なさをむしろ母に非難される娘役を演じる。父は娘を愛しているけど、うまく言葉に出来ないだけ、と。多分、娘はとっくにそんなことを分かっていた。そして、ジェーン・フォンダ本人も。娘は父親にダイビングの銀メダルを譲られる。『ダンガル』では金メダルにこだわっていたけれど、こういう銀メダルも良いものだ。人生は勝っても負けても素晴らしい。