シュトルム凸映画鑑賞記録用改め

ラジオ・デイズのシュトルム凸映画鑑賞記録用改めのレビュー・感想・評価

ラジオ・デイズ(1987年製作の映画)
3.8
ウディ・アレン33本目。前に、ウディ・アレンは落語的だと書いたことがあるが、今回もそう感じた。冒頭の、空き巣が盗みに入った家にかかってきた電話を取るとラジオ番組のクイズチャレンジで、空き巣が全問正解して、空き巣に入られた夫婦が翌日豪華商品が届いてぽかんとする、みたいな話とかね。
話はウディ・アレンのナレーションのもと、ミア・ファローを中心とするラジオ業界と、主人公少年の家族の二つが並行して描かれる。華やかで楽しいラジオ番組の世界と貧しいけれど賑やかで幸せな家族、ウディの自伝的ノスタルジーなのだろう。
ほら話のようなビジネスアイデアを語る父、河岸から魚ばかり貰ってくるオジ、いつも男に振られてばかりのオバ。家族のキャラも立っている。
ラジオ番組の世界では、実際にあったエピソードっぽい小咄が語られつつ、往年の名曲が語られ、アメリカの四十年代の文化的豊かさを感じ取る事が出来る。貧しい我が家といっても、こういう社会全体の文化的背景もあいまって、とても豊かに感じられるんだよね。
後半の、井戸に落ちた少女の話が本当にうるわしい。日本やドイツとの戦争中なのに、全米の老いも若きも貧しきも、少女の無事を祈りつつラジオに耳を傾ける。奇跡あれかしと願う。出会った事もない少女と家族のために。それを繋ぐのがラジオの力なのだ。
そして、主人公少年と父親のエピソード。実業家を気取る父の本当の職業とは。少年がチップを弾んだというのが、良いではないか。家族でもちゃんと仕事には対価としてお金を払ってる。個人主義の国だな。それでも、家族は家族だ。ちゃんと繋がっており、絆がある。
ジェフ・ダニエルズがちょい役で出ていた。出番殆どないけど、存在感あるな。