シュトルム凸映画鑑賞記録用改め

ジョゼと虎と魚たちのシュトルム凸映画鑑賞記録用改めのレビュー・感想・評価

ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)
4.5
障害者の車椅子の少女、偶然の出逢いから始まる健常者の青年との恋、ここまでベタな要素満載の映画にしてやられるとは…
なんでこの映画がここまで魅力的で感動的なのか自分でも分からん。分からんが、こういうのはね、作ってる人間が「お約束の定式」を端から馬鹿にして作ってるか、そこに描かれてる青臭い理想や夢を本気で信じて、信じてるかだけじゃ足りなくて、実践してきたかがちゃんと表れるもんだと思ってる。障害者との恋でお手軽にいっちょ泣かせてやろうなんて思ってたらこういう映画は作れない。ありきたりの健常者の毎日が、平凡な街並みや店がどれだけ障害者にとって届きにくい憧れなのか。そこをアニメ的強調はあるにせよ、きちんとジョゼの立場になって考え抜き、描いてると思う。ジョゼや恒夫の演者もそれに熱意を以て応えている。
恒夫がちゃんと目標を持って、真面目に日々を生きている好青年だからジョゼは惹かれる、好きになる。見た目とかではないのよね。
そして後半の転調。デウスエクスマキナ的ではあるが、これも恒夫が本気でジョゼの気持ちを理解する為に必要なイベントは何かを考え抜いた結果なのだと思う。
原作や実写版とは全然別物ということだが、こういう直球勝負の恋愛ものはアニメの独壇場だろう。
後半では、ちょっと、昔のラブコメアニメのエンディングテーマ曲の歌詞を連想して懐かしくなりましたよ。

曇りガラスの心のドアを開いて、翼をくれた人。