シュトルム凸映画鑑賞記録用改め

ニッケルオデオンのシュトルム凸映画鑑賞記録用改めのレビュー・感想・評価

ニッケルオデオン(1976年製作の映画)
4.0
かなり前から観たいと思い詰めていたが、なんとUNEXTに。ボグダノヴィッチ、三作目。
ニッケルオデオン、なんとも幻想的でエキゾチックな響きの言葉ですが、ニッケル貨一枚で入れる安手の映画館のことだそうで。長編の劇映画が主流になる前の映画の世界に、ライアン・オニール演じる門外漢の弁護士(という設定は割とどうでもよいのだが)が飛び込む。『ロンゲスト・ヤード』のバート・レイノルズや『ペーパー・ムーン』と同じく実娘テイタム・オニールが脇を固める。
テンポがよく、無声映画時代のドタバタコメディの雰囲気をよく再現している。そっくりの旅行鞄を入れ違えて持っていってしまうくだりとか何回天丼を繰り返すんだよ!いや、このベタベタさが良いのです(笑)
映画草創期を描いた映画というと、『グッドモーニング、バビロン!』とかを連想するが、あれと同じくやはりD・W・グリフィスが出てくる。この作品の場合は、あくまで遠景でチラッと登場するだけなのが、かえってリスペクトを感じられるのだが、彼が登場するシーンまでライバル監督の傑作に醒めた視線で一人だけスタンディングオベーションをしなかったライアン・オニールが、グリフィスが登場するやいなや、すっくと立ち上がる。ここの態度の変化、表情が良い。やっぱりライアン・オニール良いよな。そして、ボグダノヴィッチのグリフィスへの敬意の深さも分かろうというものです。