シュトルム凸映画鑑賞記録用改め

劇場版 SHIROBAKOのシュトルム凸映画鑑賞記録用改めのレビュー・感想・評価

劇場版 SHIROBAKO(2020年製作の映画)
4.0
アニメーションを作る人々を丹念に追ったお仕事テレビアニメの劇場版。
アニメーションは1人では作れないから、必然的にそれは群像劇になる。SHIROBAKOはしかも単なる群像劇ではなく良質な群像劇である。アニメの制作現場を一番よく知る人たちによって作られた作品だからだ。クリエーターたちの衝突、悩み、意気、プライドがそこには余すことなく描かれている。
今回の武蔵野アニメーションは、テレビシリーズの状況から四年が経過し、テレビアニメの大成功から一転、下請けに甘んじ、スタッフもバラバラになり、悲惨極まりない状況からスタートする。それでも、主人公の制作担当(今回はプロデューサー!)宮森あおいは、前向きに、丁寧に、周囲の人たちの力を借りて、切り開いていく。すると段々、バラバラになっていた人が集まってくる。あの頼もしくも愉快なムサニの仲間たちが。彼女始めキャラクターたちの葛藤と成長や新たな側面が丁寧に描かれているのも嬉しい。(ゴスロリ様のジャージ姿!)
そして作中劇のストーリーが、アニメ制作に青春や人生を燃やす人々に重ね合わされていく。今回は「あがく」ということ。負けるかも知れないと分かっていても、それでもあがく先に見えるもの。それは確かに込められていると感じた。あがいた先に、こうして作品を観る私たちがいる。私たちの感動がある。そのあがきは全然無駄じゃない。
最後に一言。武蔵野アニメーションもP.A.WORKSも、劇場用アニメーションの制作、お疲れ様。素晴らしいものを魅せてもらったよ。