桃色

ホテル・ルワンダの桃色のレビュー・感想・評価

ホテル・ルワンダ(2004年製作の映画)
4.0
--2008年以前に書いたブログ(とっくに閉鎖してます)からの転載です。
自分用の記録ですがこの映画は思い出深く今でも鮮明に覚えてます。

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監督: テリー・ジョージ
出演: ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ニック・ノルティ、ホアキン・フェニックス、ジャン・レノ
原題: HOTEL RWANDA
制作: 2004 イギリス/イタリア/南アフリカ

さて、どうコメントしましょう… 評価はおまけで★は3つというところでしょうか。まあ、私の個人評価ですのでそんなのどうでも良いって言っちゃえば良いんですけどね…心情的に酷評しにくい話です。ただ、みんなに観て欲しい。そしてちょっとだけでも良いから考えましょう。人類という生物のことを。
自分一人で生きてはいるわけではない地球上の出来事を知って何故?ってことを少しでも考えることが決して向こう側の人間にならない第一歩だと思うわけです。
戦争じゃないよね。これ。観た中には狂気だけが有りましたよ。そしてこういう狂気の集団心理って身近の小さなコミュニティーにもありませんか?

先日観た「ロード・オブ・ウォー」の中でインターポールから逃げるために証拠隠滅として持ってる武器をアフリカの人々に無償でばらまくシーンがありました。
女性や子供達にどんどん見境なく笑顔で差し出すシーン。「武器だけじゃダメだよ弾丸を持っていかないと。さぁどんどん持っていって」っとプレゼントを渡すサンタのごとく得意げなシーンです。そしてそれに群がる人達。ちょうどその時のような場所でしたね。ルワンダ。不安の中に置かれている人達ははたして本当にあのように誰でも武器を手にするのでしょうか?子供でも女性でも戦うんですか?
いえ、今日のこの映画はそういう銃を決して手にしない人たちの話です。希望や期待が一つずつ無くなっていく絶望の中でどういう選択をしていくのか、その時その時の支配人ポールの行動に「私だったらどうするだろう?」って本当に一々頭の中で一緒に考えながら観てきましたね。はい、だから疲れました(笑) あ…2時間、ルワンダの褐色な肌の「ツチ族」 の女性になってですよ。ここ白人ジャーナリストじゃ有りませから。そこのところ重要です。 あまりにも身近にある死に大切なものを守りきれなくなりそうになって夫婦で話すシーンではもう私がポールの奥さんですよ、気持はね。いやあ…あそこはもう涙止まらなかったわ。だけどね、本当にここには生きることばかりがあるんですよね。一度子供を産んでしまった母親としてはこれが正解だと思うんです。去年観た映画で「ヒトラー最後の…」では、ゲッペルスの奥さんが自分たちの結末に子供達を毒殺して連れて行きました。やっぱり母としてはこんな結末選んではどんな状況でもダメだと思う訳です。戦争反対を声高に唱える前に一個人としてすべきことの確認をさせてもらいました。はい。
さて、その奥さん役のソフィー・オコネドーが本当に素晴らしかったです。安らいだときのほっとした片えくぼが映画の中の息抜きになりましたね。だから、ポールが彼女と子供だけを先に逃がそうと側を離れたときの狂ったような表情が対比して目から離れないんです。恐怖から耐えるときには必ず信頼できる人の支えがなければダメだって事なんでしょう。それが無くなれば生きる意味も失うって事なんでしょうか。ああ、ちょっとかなりな哲学的っぽい私です。

さてさて、それからですけど。ラッキー! ジャン・レノが居ましたよ。ああ、やっぱり彼はすこぶる好みです。今回良い役だったし本当に大好きです。まあ、彼が欧米の思いを代弁して 語っていましたね。でも、出番が少なくてちょっと満足まで行かないわぁ…ウルフ早く観ておけば良かったなぁ。
過去に同様に実話を扱った映画で「遠い夜明け」と「キリング・フィールド」という2本があったことを思い出しました。どちらも有楽町の映画館で観た記憶があるんですが(すごーい昔ね…)共に電車に乗って帰って来れないくらいに目が腫れた記憶があります。 今回そこまでは行きませんけれどサングラス程度はご持参なさった方がよろしいかと。
この2本と違うところは白人ジャーナリストの目から見た話じゃないってところです。だからこの話の中には必然ばかりがあります。ポールは確かに重要なポジションに居たかも知れませんがでも、これが必然でしょう? 誰にでも出来ることじゃないとか褒め称えるべき事でもなく、絶対にこういう事をしなくちゃ人間じゃないって話。そしてそれが出来ないときには狂気の向こう側に行っちゃうんです。
ああ、なんだかやっぱり酷評し辛い。映画と割り切ることが出来ず実話という背景になんとなく口が重い自分です…だめだわ。

だけど、生き残ったみんな「よく頑張ったね!」
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