かずぽん

小さな目撃者のかずぽんのレビュー・感想・評価

小さな目撃者(1970年製作の映画)
3.3
【オオカミ少年は信じてもらえない】


監督:ジョン・ハフ(1970年・英・92分)
原題:Eyewitness(目撃者)

(ネタバレしてないと思うけど、勘の鋭い方はご注意)


地中海の小さな島に住むジギー(マーク・レスター)は空想好きな少年。
この日、ジギーは姉のピッパ(スーザン・ジョージ)と一緒に某国の大統領の歓迎パレードに行く。ジギーは混雑を避けて見晴らしの良さそうなビルに侵入。階上の窓からは、大統領の車列が良く見えた。隣の部屋にもジギーと同じくパレードを見下ろす人物がいた。すると突然、銃声が聞こえ、大統領が倒れるのが見えた。隣の部屋で警官が銃を構えていた。慌てて逃げようとしたジギーだったが、男に顔を見られてしまった。

このパレードが始まる前に、島の警察署のガレリア警部(ジェレミー・ケンプ)が署員たちに命じてパレードの安全確認を徹底していた。いちいち細かいことを言うので署員たちは、「警部は気が小さいのさ」と言っていた。
一方、姉のピッパは弟がどういう状況に陥っているのかを知らないまま、暗殺事件が起きて混乱している中でジギーを探していた。そこへ旅行者のトム(トニー・ボナー)が近寄ってきて一緒に探し始める。

何とか逃げ果せたジギーは、姉たちに目撃したことを話すが、いつもの空想だろうと本気にしてもらえない。ただ一人、祖父のアームストロング(ライオネル・ジェフェリーズ)だけが信じてくれた。いつもの空想のハナシとは傾向が違うと・・・

終始、ジギーを追う2人の警官とジギーの追いかけっこなのだが、地中海に浮かぶ島ということで街中や狭い住宅街、海岸線、断崖と、ロケーションが多様で観ていて飽きない。加えて祖父のアームストロングが元軍人の灯台守という設定が後々効いて来る。姉のピッパは普通のお年頃のおねえちゃんで、トムは彼女に一目惚れしたお兄ちゃん。(逃走中のカ―レースでの運転は頑張ったけど)

何故、警官が大統領を狙ったのか?が、ずっと謎だった。しかも、犯人はジギーを追う途中でも更に犠牲者を増やしていくのだ。ジギーの友人の少女アンマリーは、ジギーに代わって真犯人を通報しに行ったために殺されるし、他にも多数。
終盤になってあの慎重なガレリア警部が、アンマリーの言葉から真犯人を割り出し、彼らの標的は大統領ではなかったことが分る。やっと警部らしさを発揮して面目躍如。
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本当のことを言っても信じて貰えないのは、いつもジギーが在りもしないことを吹聴するから。ウソではなくて空想ばなしなんだけど、オオカミ少年の変形バージョン。命を狙われたのに、懲りないジギー。自分のせいで多くの人を巻き添えにしたのに、ちょっとイラっとする。
マーク・レスターが主演だと思うけど、最後で活躍したのは祖父のアームストロングだった。元大佐というだけあって攻略も見事だったし、信頼できて頼れる人物。会話にユーモアもある。
ひょっとして、私は「ジジ専」なの?と思った。だって、『マイ・フェア・レディ』のピカリング大佐とか『モロッコ』のベシエールが素敵だと感じてしまう。本当は他にもいるのだけど、本作には関係ないので止めておく。(笑)
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