シドニー=ガブリエル・コレットの小説「ジジ」のミュージカルを、ヴィンセント・ミネリ監督が映画化した1958年のアメリカ映画
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第31回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚色賞など9部門を受賞した
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ヴィンセント・ミネリ監督と言ったら、「巴里のアメリカ人」といった個性的なミュージカル映画を撮っている監督だ。MGMの大スター、ジュディ・ガーランドと結婚し、女優ライザ・ミネリの父親となった。そんな監督の最高のキャリアとなったのが「恋の手ほどき」だ。
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原作者のシドニー=ガブリエル・コレットと言ったら、「ジジ」のミュージカル版でオードリー・ヘプバーンを抜擢した功労者。彼女無くして大スター、オードリー・ヘプバーンは誕生しなかった。オードリーの代表作「マイ・フェア・レディ」とストーリーが似ているのも縁を感じる。
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「巴里のアメリカ人」でのデビューが印象的だったレスリー・キャロン。お転婆でまだお子さまなジジが可愛らしい。大スターモーリス・シュヴァリエの存在感も素晴らしいが、ガストンを演じたルイ・ジュールダンの感情の変化を見せる演技は見応えあった。
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アカデミー賞9部門を受賞したというのはすごいことだが、はっきり言ってミュージカルとしては駄作だ。ドラマはなかなか面白いのに、ミュージカルとしての完成度が低すぎる。ミュージカル、映画界を牛耳っていたMGMの権威に負けた結果のような気がする。それぐらいこの時代のMGMは力があったのだ。肩書きを気にしないで観た方が楽しめると思う。