ひろ

デトロイトのひろのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
3.8
キャスリン・ビグロー監督、マーク・ボール脚本で製作された2017年のアメリカ映画

1967年のデトロイト暴動の最中で起きたアルジェ・モーテル事件を題材にした作品。白人警官による黒人への理不尽な暴力が描かれている。黒人差別の色濃いデトロイト。全米第5の都市ですら差別が蔓延る時代。この作品はなかなかヘビー。白人至上主義、差別発言を繰り返す人が大統領のいま、この作品が持つメッセージはとても強い

監督のキャスリン・ビグローは女性初のアカデミー賞監督賞を受賞した監督。脚本のマーク・ボールとは「ハート・ロッカー」で監督賞と脚本賞を一緒に受賞したコンビ。ジャーナリストでもあるマーク・ボールは常に生々しい現実を描く。それを映像化するビグロー監督。このコンビが描くアメリカはなかなかハードで、観てる方の体力も削られる。でも目を逸らしてはいけない物語でもある

ハリウッド自体が黒人を差別してきた歴史的があるので、黒人差別というのはデリケートなテーマだ。しかし、自分たちが正しいと信じやまない白人と憤り怒る黒人。しかし、立場の強い白人がやりたい放題。すごく嫌な気持ちになる。一発逆転してほしいものだが、この時代設定にそんなことしたら嘘になる

警備員役のジョン・ボイエガ。うまく立ち回り自分の立場を守ろうとする。そんな自分へのジレンマもある。複雑な役柄。スター・ウォーズとは違った雰囲気。差別主義者の白人警官フィリップ役のウィル・ポールター。「リトル・ランボー」で悪ガキだった少年が、ガチの悪になってます。素晴らしい悪役演技。子役時代からの悪い顔つき。持って生まれた才能。天然悪役。この映画を観た後に道端で会ったら、嫌いって言っちゃいそう。今後も悪役として活躍しそうな俳優

アメリカの差別は未だになくならないし、この時代の暴動はまた起きてもおかしくない。こういった歴史を思い出させる作品はとても大切。現在、コロナウイルスの脅威にさらさらている。医療従事者やコロナ感染者への差別的な言動をとる人が後を絶たない。焦る気持ちがそうさせるんだろうけど、この作品を見てもらいたい。この作品内の白人警官があなたです。その愚かさを見たら、気持ちに変化が起きるかもしれませんよ
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