このレビューはネタバレを含みます
一組の夫婦の別離…その軋轢が、新たな軋轢を生み、更なる軋轢を生む。
そして、悲劇の犠牲になるのは、いつだって立場の弱い人間だ。
父親の為に偽証した娘の流した涙、家族を壊された子供の鬼の形相が忘れらない。
本作は、妊婦の転落事件にまつわるミステリーを中心に描かれるが、その事件を通して様々な社会問題も描かれていく。
介護や経済格差、宗教や女性差別。
別離し、分断された世界を見事に批評して見せている。
結局のところ、最初から全員が素直に話していれば、こんなに話がこんがらがる事はなかったのかもしれない。
「どうして、彼らは真実を言えなかったのか？」
そこにこそ、本作の本質的なテーマが隠されているのではないだろうか。
