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キャスト・アウェイのroofbalconyのネタバレレビュー・内容・結末

キャスト・アウェイ(2000年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

DASH島、、、 じゃなくて。絶海の孤島怖い。高波怖い。でも所々笑ってしまう。
生還してからの第三幕で序盤とはすっかり変わった主人公チャックの目線で世界を見られるのがとてもいい。演じるトム・ハンクスの目つき、表情の凄味。パーティの食べ残しの鮨やカニ、チャッカマン、スタンドライト。

「エネミーライン」を先に観ていたが「ウィルソーーーン!」の件は忘れていた。元ネタはこれか。正気を保つためにこそイマジナリーフレンド大事。同じくチャックが孤島から持ち返ろうとした物のうち、婚約者の写真入り懐中時計は解りやすい。興味深いのはあの荷物。
あれをひとつだけ開封せず持ち帰ったのは職業倫理からではなく(職務を全うするなら宛先に届けるのが一応筋)、描かれていた「天使の羽」だろう。チャックはこのロゴマークを壁画や筏の帆にも模写していて幸運のお守りに見立てていたようだ。宗教に限らず自分が信奉する「何か」のアイコンには折れそうな心を支える効能があり、存外に重要であるな、と。
初見時、荷物自体は登場後フィーチャ-されず、島を脱出後は布で包んであったためアレを未開封のまま持っていたとは判らなかった。中身が明かされないことからマクガフィン的な動機の拠り所という設定かと思ったが、再見するとあのマークを描いた金属工芸作家ベッティーナの最初の荷物はモスクワにいる夫のディック宛て。そのディックが浮気している様子をわざわざ説明的に描き、ラストではディックの文字が外された工房の看板を見せている。チャックが十字路(人生の岐路のメタファー)で出会った女性のピックアップにあのマークがあり荷物の送り主と判る。「天使の羽」がチャックの心を支え、絶海の孤島から独り身になったベッティーナまで導いた、という解釈がしっくりくるだろう。
ただし、かなり「一方的片思いな運命の人」な気がするけど。。
さはさりながら明日も陽は昇り、潮が何かを運んでくるかもしれない。

舞台:テキサス州ヘンフィル郡、モスクワ、テネシー州メンフィス、無人島(クック諸島の南600マイル付近)

***
ベッティーナの家と工房のロケ地はヘンフィル郡カナディアン郊外のArrington Ranch House Lodgeというホテルで、チャックが書き置きするメモ用紙がここのもの。
会話から推して、冒頭とラストのあの十字路は国道83号と州間道40号の交点付近の北側のどこかという印象になるが、実際はもっと北の83号から東に9km外れたファーム・ロード1268と48との交差点のようだ。其々GoogleMAPにラベル発見。
グレートプレーンズに無数に存在する十字路からなぜここを選んだのかちょっと気にはなるが、前述のロケ地ありきというだけの事かもしれない。現在では風力発電の風車が立ち並んでいる。

島に漂着した荷物の中身の小ネタ:
・ビデオカセットのラベルには日本語が書かれている。
「ゴミからお金を貯める方法」「下水から鉱物廃物利用」など。
・離婚同意書。暗示的だ。
・バレーボール「ウィルソン」に添付されているグリーティングカードの文言
「世界で最も美しいものは、無論世界そのもの」
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