まりぃくりすてぃ

自転車泥棒のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
5.0
神はきっといない。でも、もしも神がいるとしたらどんな気持ちでこの世を導いているのか、この映画でわかる。

主役パパの“復讐に燃えるチャールトン・ヘストンの目”にこれだけ長時間つきあわされれば、「ほら、もったいぶってないでさっさと盗みなよ。もっと早くに盗んでもよかったぐらいだよ」と焦(じ)れる。揉み合うところで、さっと息子が乗って逃げちゃうナイス連係を期待したりもした。
そしたら、まさかの結末に──────悲涙滂沱。せつないぃぃぃ。

せつないぃぃぃぃーっ!!

ところで、盗まれた最初っからもう一貫して「取り返すんだ」に執着し続けるのは、個で動く狩猟民族系のヨーロッパ人らしさか。
農耕系のアジア映画(その時代の邦画とか)だったら、盗難に遭って悲嘆してヤケ酒して人に八つ当たりしてもう一家心中まぎわ、生きてくためには娘を身売りするしかない、みたいになって、ご近所さんや親戚・友人らからの助けの募金でどうにか古自転車一台手に入って再出発、という温かみいっぱいな矢先に突如衝突事故で崖から転落して父死亡、みたいな心地よすぎるベタ悲劇へ持っていったかもしれない。────そういうふうにならないネオレアリズモ!