エディ

自転車泥棒のエディのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
4.4
これがないと仕事にならないという大切な自転車を盗まれた貧困労働者の悲しみを描いた超名作。人が死ぬわけでもないし虐待されるわけでもないのに、観ていて辛く胸が苦しくなる。昔話などで「正直に生きていたら良い事がある」と言われていた幼少時、この映画を観て「割りに合わない損な役回りの人もいるのだ」「正直に生きても報われないのか」とショックを受けてしまった。

主人公が追い詰められやる行動の一つ一つがいちいち共感できる。彼は何も悪くない。ただ、運が悪かったのだ。
今の時代だったら、探す暇があれば仕事しろと言われるが、戦後間もなく貧しいイタリアで、職を探すのは至難の業。そんな中で、自転車保有が条件で素晴らしい役所仕事がもらえたので、これで家族を養えると喜んでいたのにこんな目に遭ってしまう。
何をやっても上手くいかないときってあると思うけど、そういうときは絶対に観ないほうが良い。正直者が報われず、永遠に損な役回りになってしまう人もいるんだと痛感するので。。。

ご立派なキレイごとを並べられるよりもはるかに現実的だ。人生のいろんなシーンで似たような場面があるので、必ず心に引っかかると思う。
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