未島夏

火垂るの墓の未島夏のレビュー・感想・評価

火垂るの墓(1988年製作の映画)
3.7
世代によっては戦争への教養的印象がある映画。
しかし改めて見返すと、物理的な戦争への恐怖以上に、思春期を迎えた主人公清太の環境に戦争があったという事への悲劇が焦点として描かれている様に感じた。

どんなに困窮した状況でも親戚の叔母の家に戻らなかったのは確かに頑な過ぎるかもしれない。
しかしそこに清太の自立心と、大人に対する戦時中という背景も含めた反発心が垣間見え、それらが全て節子と二人で生きていくという強い想いへと昇華されていく。

そんな一人の若者に訪れる普遍的で尊い感情を戦時中の世が打ち砕く様子を描く事で、内面的な視点から戦争への残酷さを強く物語る。
決して忘れてはいけない映画。
未島夏

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