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女が階段を上る時の一のレビュー・感想・評価

女が階段を上る時(1960年製作の映画)
4.0
成瀬巳喜男監督作品

銀座のバーの雇われママを主人公に、華やかな世界の裏に見え隠れする非情な人間関係と女の虚しい心を描く

『女が階段を上る時』
まずタイトルから超洒落てるんですが、そんなタイトルにも引けを取らないくらい余裕の傑作

溝口監督の『赤線地帯』にも通ずるような作品でしたが、成瀬監督らしい男女の機微が情感豊かに描かれ、絶妙な間やホステスのウィットに富んだリップサービスもりもりの会話がやたらと心地良い
そもそも女性を撮るのが天才的に上手い監督にぴったりなテーマだったのかも

言ってしまえば銀座にうごめく夜の女性と、下心丸出しの愚かな男たちが織り成すメロドラマなんですが、何とも上品でオーラのある雰囲気作りも素晴らしく、隅々にまで行き届いた繊細な成瀬演出が光りまくり

銀座でバーのママと聞けば圧倒的に華やかな世界を想像しますが、この映画はその裏をかくように現実的に等身大の女性の苦悩が映し出される
もちろん一般的な仕事よりも収入は良いけど、背景にはいろいろな事情もあり、お金や男が絡むと途端に虚無に襲われる感じもリアル
女性ならより一層刺さる映画なのかも

そしてやはり高峰秀子無双
気高く品のある強かな女性を演じたらそりゃもう敵なしですわ
若々しい仲代達矢は妙にギラギラしていて良かった
にしても森雅之はこういう役ばかりなのだろうか?笑

〈 Rotten Tomatoes 🍅100% 🍿93% 〉
〈 IMDb 8.1 / Metascore - / Letterboxd 4.1 〉

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