ウサミ

容疑者Xの献身のウサミのレビュー・感想・評価

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)
4.3
泣いた。

最近観た映画の中でも、一二を争うくらいに泣きました。

何がそこまで泣かせるかって、とにかく登場人物がカッコいい。


主人公は、天才物理学者、ご存知ガリレオ先生、福山雅治。
こんな人間がいるのか?ってくらいのルックス。こういった癖のあるキャラクターを演じさせると、福山雅治はやはり魅力的です。

そして、第二の主人公、天才的な数学の才能を持つ高校教師役に堤真一。
原作のイメージとはかけ離れた人選でしたが、その空気感と演技が石神のイメージそのもので、本当に素晴らしかったです。


この2人は互いに実力を認め合う、大学時代の旧友であった。
彼らは、一つの殺人事件を軸に対峙することとなる。


"誰にも解けない問題を作るのと、それを解くのとでは、どちらが難しいか?

ただし、必ず解答は存在するものとする"


そこにあるのは、男としてのプライド。
友情を超えた、己の力の証明。

しかし、最後の最後、問題の解を阻むもの、それは「論理的思考」を超えたモノだった。

論理的思考に基づいて、事実のみを観察する。そんな者たちでも、ロジックを超越した答えのない問答に翻弄される。
その姿が、たまらなくカッコいいのです。


そして暴かれる事件の真相。
観客に見せられるのは想像を超えた、理解を超えた大きな愛。

なぜここまでして人を愛せるのだろう。
人のために全てを捧げることが出来るのだろう。
与える愛、一方通行で、自分のためでは決してない、相手にのみに向けた愛。
自己の利害を度外視して、それでも相手を思い幸せを願う姿が、なんとも切なく、涙が溢れてきました。


しかし、この映画は愛の物語ではない。
愛の物語に血なまぐさい死体は要らない。

これは、論理的思考では決して解を見いだすことのできない魂の鼓動に身を委ね、苦悶し、葛藤した、愚かで、不器用で、熱い熱い男たちの物語である。

正義を超えたところで人を守ろうとした2人の男たち。
その姿を見ていると、涙が止まらなくなりました。


問題の完璧なロジックを壊したもの。それはまた人の論理的思考を超えたものだった。

初めて感情を吐露した石神。魂の全てを捧げた男の慟哭が、脳裏に焼き付いてはなれない。
ウサミ

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