こたつむり

料理長(シェフ)殿、ご用心のこたつむりのレビュー・感想・評価

2.9
★ 腹回りのお肉は、芸術家への賛辞

昔から推理小説が大好きです。
江戸川乱歩先生の『蜘蛛男』に始まって、小学生の頃に赤川次郎先生と西村京太郎先生を読破し、中学生以降は新本格にどっぷりとハマり…清涼院流水御大の小説を投げるようになるまで…うん。色々と読みました。

だから、映画でもミステリが観たい!
そんな気持ちで色々と観てきましたけれども…正直なところ、ミステリと映画は相性が悪い…と感じることが多かったです。

それは本作も同様。
次々と有名シェフが得意料理に準えて殺されていく…そんな舌なめずりするような展開も…何故だか盛り上がらず、睡魔に襲われる始末。

その理由を考えるに、真正面からミステリに取り組もうとすればするほど…地味な展開に陥るからなのでしょう。しかも、本作の場合は探偵役が不在ですからね。やはり、クライマックスには快刀乱麻を断つ活躍が欲しいのです。

しかし、本作はあくまでもコメディ。
そう考えれば評価が変わります。
しかも、根底にあるのは美食文化への批判。
豪華絢爛な料理が目も鮮やかなので食欲を刺激してきますが、それらが全て“罠”なのです。

ハトの包み焼き、ロブスター、鴨料理、大きな爆弾ケーキ…どれもこれもが反則級に“美味しそう”ですからね。夜中に観たら何かを食べてしまうこと必至。うーん。なかなか酷な物語ですなあ。

まあ、そんなわけで。
ミステリとして隠れた傑作…なんて評を耳にしたので鑑賞しましたが、コメディ要素のほうが強い作品。耳に残る明るいテーマソングが、それを如実に示していました。

最後に余談として。
本作鑑賞後にウィキペディアを読んだら…なんと“あらすじ”にウソが混じっていました。やはり、インターネットは“ウソを見分ける目”が必要なのですね。僕みたいに正直者ばかりとは限りませんからねえ。げっげっげっ。

あ。そうそう。
この作品を仕上げたのは『ランボー』を作ったテッド・コッチェフ監督ですよ。これは本当の話。
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