こたつむり

チョコレート・ファイターのこたつむりのレビュー・感想・評価

チョコレート・ファイター(2008年製作の映画)
4.2
★ 戦え!何を?人生を!

ガチのアクション。
ガチで殴り、ガチで落ちる。
本作の魅力はそれに尽きるでしょう。
ノーワイヤー、ノーシージーは伊達ではありません。

ただ「映画としてそれで良いのか?」
と問われると微妙なところ。やはり、映画は“虚構”であるから成り立つもの。現実に近すぎるのは警戒すべきだと思います。でも、本作はギリギリで“虚構”で踏み止まっていました。

それは、主人公の設定が理由のひとつ。
驚異的な反射神経。
見ただけで動きを真似できる。
そんな超人的な能力の持ち主と現実を重ね合わせることはしませんよね。超人的なキャラクタと真剣勝負のアクションは相性が良いのだと思います。

また、アクションに特化するばかりに物語は陳腐。…なんて欠点も本作に限って言えば当て嵌まらないと思います。確かにセンチメンタルな部分が多い脚本ですが“お約束”を丁寧に描くからこそ、主人公の設定が活きるのです。

それと個人的に好感を抱いたのが、色々な部分から日本へのリスペクトが伝わってくること。主人公の父親に阿部寛さんを配役したのもその一環だと思いますし、細かい動きや音からも、そんな雰囲気が伝わってくるのです。やっぱり、相手に好かれていれば、こちらも好きになりますよね。

ちなみに阿部寛さんも良い雰囲気でした。
外国映画に混ざっても違和感がない日本人として、今後も活躍し続けてもらいたいものです(ただ、どうしてもコミカルな先入観が抜けません。シリアスな場面で「どんと来い、超常現象」と言いだしそうで…)。

まあ、そんなわけで。
主人公の少女《ゼン》のアクションを堪能する物語。真剣勝負ばかりが続く展開に終盤は疲れましたが、なかなか見応えのある作品でした。あの迫力を言葉で伝えることは難しいので、興味がありましたら是非とも。

あ。でも、ひとつだけ難点が。
幼馴染《ムン》の“恩に報いて骨身を惜しまない姿勢”が物語に良い意味で“癒し”を与えていたのですが、物語終盤の扱いが雑になっていたのが…ちょっと残念でした。
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