まぐ

フローズンのまぐのネタバレレビュー・内容・結末

フローズン(2010年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

低予算、殆どワンシチュエーションでここまで感情を動かす物が作れるのかと感服した。
でもそれと同じくらいの衝撃は、評価がこんなにも低いこと。何故??

最初から最後まで、とにかく人の嫌がるものを見せてくる。
徐々に3人のすれ違いを蓄積させ、それがリフトに取り残されるという結果を生むという流れが見事。初めから3人の中には対立や割り切れない思いが存在する。これがこの映画に奥行きを持たせている。なにもない3人が取り残されるよりずっと面白い。リフトが止まってからしばらく3人が楽観的なのも良い。徐々にライトが消えていく絶望的な演出が恐ろしい。昼間に一度リフトが止まるという伏線が活きている。

凍死か転落死を迫られる場面は文字通り手に汗握る。有無を言わさず殺されるよりも恐ろしいシチュエーションかもしれない。飛び出した骨なんかも容赦なく見せてくるし、本当に嫌なシーンだった。劇中の会話に、9.11の会話があったが、あの会話にこそこの映画の姿勢が表されていると思う。とにかく、観ている人にとって何が本当に嫌なのか、考え抜かれた映画だった。スリラー映画の当たり前の考え方だが、この映画は限定的なシチュエーションなのに引き出しが多く、特によく練られていると感じる。
朝起きるとリフトと掌がくっついているシーンなんかはそれがよく表れている。物語上大した意味を持たないシーンだけど、常に嫌なところを突いてくることが大事なのだろう。個人的には、パーカーが漏らした尿で下半身も凍傷になれば完璧だったと思う。
山を降りる時にパーカーが狼に遭遇し、ジョーの死を知るシーンなども同じで、最後まで気を抜かせてくれず終始楽しめる映画だった。
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