まぐ

ドラえもん のび太と鉄人兵団のまぐのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

面白かった!
時々理屈に合わないことをするのが人間なのよ、という台詞がとても美しくて切ない。

リルルの感情の起伏がリメイク版では大きくなっていてとても残念。
感情移入のためにキャラを人間らしくするという方向転換は個人的に大マイナス。目的のために合理的に行動するという思考回路しか持ち合わせていないロボットが人間とのかかわり合いを通じて複雑な心を手に入れるという本筋なのに、最初からロボットが感情豊かだなんてあり得ない。この二作の方向性の違いはシロクマを倒すシーンでハッキリと示される。というかそもそもピッポという感情豊かなロボットがこの本筋に凄くそぐわない。
ピッポ...リルルと役割丸かぶりな新キャラを登場させ、しずかちゃんとリルルのやり取りと特に代わり映えしないのび太との絡みを付け足したところと併せて、「ラストで泣かせよう」という魂胆が見えてしまい涙が引いてしまった。

演出もオリジナル版から劣化しているように感じる。
ドラえもんに「この世界でものを壊しても現実の世界ではなにも変わらないよ」といわれてものび太が物置を踏むのを避けたのは、観客にのび太たちの倫理観の程度を示し後にしずかちゃんが誤操作でミサイルを撃ったときの罪悪感を増幅させるため。
しかしリメイク版、そのシーンをカット。
リルルが最後に涙するのは、初めてリルルとしずかちゃん、ロボットと人間が同じ感情を共有したことを示すため。
しかしリメイク版、中盤にはもうリルル泣いている。
何でやねん...

リメイク版の演出、良かったです。
糸電話から「逃げられないわ」のシーン、のび太がロボットを知っていることを口走り一瞬入るリルルのインサートが個人的にホラーで好き。リメイク版も同じような演出はあったが、切れ味不足。
オリジナル版の、非力な人間五人で秘密道具を駆使して戦うという僕らの七日間戦争っぷりが好きだったけれど、リメイク版ではピッポが強すぎてその要素が薄まっていた。
逆さになってる日本列島も、映像で見るのと実際に宇宙から見つけるのとではインパクト全然違うのでは.....でもリメイク版でプロローグに日本地図見せてくれるのは親切でいいっすよね。

シーンの画的な面白み、テンポ、作画はリメイク版の方が上。
特に序盤は芝居だけで笑えるハイレベルな作画の連続で、さらにオリジナル版でうだうだやっているところはカットして見やすくなっていた。序盤だけ見るとリメイク版の方が好き。エフェクトもメチャメチャかっこいいですし。

ザンタクロスで遊ぶシーンも、リメイク版のハイウェイ走り幅跳びの方が絶対に面白いし、その後その遊び場全体を破壊してしまうというのもシーンの主張がより強くて良い。オリジナル版ではビルひとつかよ~といった感じだったので。

ちなみにオリジナル版の、しずかちゃんが誤操作でミサイル発射させるシーンは声だして笑った。
「このボタン何?」
「あぁ、それね、関係ないやつ」
「そう」
ポチッ
チュドーーーン!!!!!!!
「知らなかったのぉ!」
まぐ

まぐ