まぐ

ムタフカズのまぐのレビュー・感想・評価

ムタフカズ(2016年製作の映画)
3.5
面白かった、というよりは好きだった。


惜しく感じた点
移入が難しい。主人公が何かの目的のために主体的に動くのではなく、基本的に能動的に動かされるので応援しづらく、主人公のピンチを客観的に見てしまう感じ。
また、アニメーションや背景動画のクオリティの高さが裏目に出たのかはわからないけれど、展開が似通ってしまっている。路地裏を鬼ごっこするシーンや警察対ギャングの銃撃戦など、記憶の中で混合してしまいそれが映画全体のボリューム感を縮小させてしまっている気がする。似たような展開がある場合は地形や武器の種類などもう少し趣向を変えてやってもよかったのでは、と思ってしまう。鉄コンでもストーリーに対してとっつきにくさは覚えたが、「あのシーンがよかった!」と熱くなれた。今作はそこに関しては少し物足りなく感じた。

良かった点
それらを補えるほどの世界観の作り込み、街の描写。
壁の剥がれ具合、落書き、銃撃戦の跡、etc....絵のみで(こんな街)と伝わるような圧倒的な美術は見て損はない。スラムなどの雑多な雰囲気が好きな人にはたまらないと思う。
デザインでいうとキャラクターのデザインも好きだった。雑多な街にシンプルなキャラ、という取り合わせが良い...
ウィリーやプロレスラーたちなど、味方かと思いきや主人公たちの妨げになるという動かし方も意外性があって面白い。
あと、色々言われている草なぎさんの声、自分は好きだった。あのくらい粗や癖のある方が印象にのこるので。
スタジオ4℃のアニメーションの技術(
キャラの動きのクオリティも落とさず背景も丁寧正確に動かす感じ)は、サイエンスSARUやトリガーの背景動画とはちがいアクションシーンのなかでも街を見せるのに適していると思う。
これからもああいう面白い街を舞台にした4℃の映画を見たい。
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