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メランコリアのdeenityのレビュー・感想・評価

メランコリア(2011年製作の映画)
3.0
メランコリアの接近による何とも芸術的で神秘的、美しくそれでいて禍々しいまでの映像美。からの絶望。手がけるは個人的世界三大映画監督の一人にしている、ラース・フォン・トリアー。さらに巷では不細工とか言われてますが、キルスティン・ダンスト。結構私は好みなんです。という期待値大で鑑賞した作品。

前半部の設定というかキルスティン演じるジャスティンの理由がわからない間は終始腑に落ちず、些か退屈した。そこがこの作品のウィークポイントに思う。ただ、その中でもどこか不安気な闇を抱えた表情のジャスティンは、落ち着かないカメラワークと相まって終末への絶望感を相乗効果で際立たせていた。さらに冒頭のスローモーション。かなり印象的だったが終盤に生きてくる。
後半部は、というより終始そうなのだがキルスティンの美しさが圧巻。あんな憂いを帯びた表情に肉体美まで晒されたら惹かれないわけがない。しかし、そこにあるのは同時に絶望的なまでに終末を予見するしかない悟りのような美であって、官能さとは裏腹に終焉を迎えるのだと認識させられる。その辺りの表現はトリアーらしさがあって、絶望・鬱・アンハッピーエンドにおいてこの人の右に出る者はやはりいない。
ただ本作にあるのは救いがないかもしれないが、絶望と美の交錯の中に優しさがある。魔法のシェルター。優しさたっぷりのトリアーも、またいい。これがラース・フォン・トリアーの優しさ。そして絶望と美の融合。
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