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ことの終わりのNのレビュー・感想・評価

ことの終わり(1999年製作の映画)
3.8
2017.11.3(Fri)
グレアムグリーン原作ってことで見た。
中盤までただの不倫ものじゃんと思って退屈だったけど、サラの日記のシーンから一気に引き込まれた。冒頭のレストランのシーンも、最初はモーリスに肩入れしてたから嫌味っぽいなとしか思わなかったけど、サラの立場からしたらとんでもなく辛い台詞だった。同じ言葉でも立場によって変わるんだなっていうのを改めて感じた。
サスペンス?からの純愛ものと見せかけた信仰の話。時系列を変えながらそれぞれの要素がちゃんと最後まで存在感を持って繋がってひとつになって、っていう構成力がすごい。この物語の構成自体含めサラの愛とか祈りもモーリスの憎しみも全て包括する神っていう構図に圧倒された。サラはモーリスのことがあってあんなに信仰するようになったのに、逆にそのせいでモーリスは神を拒絶するようになるっていう。でも拒絶するってことは神の存在を信じてる証拠であって。文芸作品の中の信仰って今まであんまり共感できなかったけど、 信仰心が芽生える瞬間とか信仰するっていうのがどういう気持ちなのかがリアルに感じられた。男の子のアザのエピソードはちょっと過剰演出かなと思ったけど。あとヘンリーの立ち位置がよくわからなかった。
音楽とジュリアンムーアがとても美しかった。
「第三の男が~」って紹介文に書いてあったからグレアムグリーンだからかと思ったけど、それだけじゃなかった。「第三の男」っていう言葉の持つ含みがすごい。グレアムグリーンすごい。
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