戦メリにおいても描かれていた理解しきれない他者間の関係性を、人種どころか種族の壁を超えて描いた作品。
西洋社会においての「猿」というのは、要するにこれは黄色人種の比喩であって、マックスは大島自身で、チンパンジー仲間からも捨てられ、西洋人からは熱烈に受け入れる人もいれば、やはり珍妙な猿としか見ない中で悩む様と、それを超えて最後の大団円のような違うような展開も、大島渚特有のユーモアは感じた。
セットはルイスブニュエル作品を多く手掛けてる人らしく、そういう風に観ると確かにそういうふうに見えなくもないって感じがした。
カメラはゴダール作品を支えたラウル・クタールで、これは!と思わせる流麗なショットがあるのだが、正直、話があまりに荒唐無稽過ぎて、正直ついていけなかった。
ただ、大島渚作品特有の、観て大笑いしている観客自身を鏡で写すような演出はさすが。