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クルーレスのArxのレビュー・感想・評価

クルーレス(1995年製作の映画)
3.9
古典小説『エマ』の背景にあった階級社会をスクールカーストに翻訳した今作は、観客の誰もが主人公シェールに好感を持つだろう。

最後シェールは義理の兄と結ばれることになる。それはアリなのか?と思わなくも無いが、重要なのは自分のことについて無知(クルーレス)だった彼女にエゴが芽生え、ある種の気づきを得ることである。彼女は周囲の男やファションには詳しいが、自分は何を欲しているか、そして「自分」と「他者(社会)」の関わりには無知であった。それが終わることは大人としての始まりを意味する。(そのため、最後に主人公は環境活動に参加することになる。ティーン向け映画において日本との違いを一番感じるのは、「大人」になる事は社会活動に参画していくことだとハッキリ提示することだ。)

ライバルや煩い大人は存在するが本質的な悪人はこの映画にはいない(学校が舞台だが狭いスクールカースト間の対立もない)。しかしだからといって単に精神的に未熟な学生を甘やかす物語にもなっていない、このバランス感覚は優れたティーンムービーに必須だろう。
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