真鍋新一

銀蝶渡り鳥の真鍋新一のレビュー・感想・評価

銀蝶渡り鳥(1972年製作の映画)
3.2
梶芽衣子さんの東映移籍第1作を実は観ていなかったので観た。

どうしてもメインビジュアルの着物姿の印象が強いので緋牡丹博徒のような映画なのかと思いきや、銀座のホステスと周辺のヤクザ連中がひしめくように舞台は割と都会的で、着物姿は実はそれほどない。クライマックスでハスラー対決をじっくり描くのも東映ではちょっとめずらしいところ。打ちにくい姿勢でビリヤード台にちょっと腰を掛けたところを、すかさずカメラが彼女のふとももを狙いに行く。カッコよく撮らずにはおれないという感じだ。

同僚ホステスのフラワーメグは特にヤクザに捕まっているような描写はなかったにも関わらず、ヤクザ連中がエロビデオ(ブルーフィルム)の上映会をしているそのスクリーンで彼女がひどい目に遭っており、その少し前の場面で揉めごとがあったときに捕まってたちまち売り飛ばされたことが判明。こういうことを当たり前のように流れ作業でサラっとやってのける、これぞ東映の暴力性である。

五木ひろしがご機嫌で歌っているすぐ近くでエロ親父の由利徹がデレデレで梶芽衣子と踊っている場面がよかった。あわや賭場荒らしになる寸前で逃げ切るところも好き。

渡瀬恒彦&梶芽衣子は恋人同士にも発展せず、最後までバディという関係なのが良い。一度見たら忘れられない顔の頑固オヤジ・清水元のご隠居ギャンブラーな感じもよかった。
真鍋新一

真鍋新一