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敵、ある愛の物語のHKのレビュー・感想・評価

敵、ある愛の物語(1989年製作の映画)
4.2
ポール・マザースキーが10年以上掛けて作った、あまりにもウディ・アレン的な傑作(ちなみにこれの次にマザースキーが作った映画の主演はアレンだった)。とはいえ社会派的な側面あるのがマザースキーで、3人の妻に追い詰められるのがユダヤ男であることのおかしみと悲しみ。純文学の古典的傑作と言われる原作をほぼ忠実に映画化しており、台詞もそのままのものが多いという。作者アイザック・パシェヴィス・シンガーは、マザースキーとの初対面で『愛のイエントル』(83)(これもシンガー作)みたいにすんなよと念押しした。キャスティングが最重要と語るマザースキーだが、この映画の役者はみんな素晴らしい!所謂断れない男を演じたロン・シルヴァーは、前年トニー賞を受賞したデヴィッド・マメットの舞台(共演はマドンナ)を観てマザースキーは決めたというが、同じ舞台を観たある女流作家も彼女のスリラー映画にオファーした。それはこれとは全然違うサイコ役で、比べて観るのも面白いかも。ビグロー『ブルースチール』(89)である。
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