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狩りのHKのレビュー・感想・評価

狩り(1965年製作の映画)
3.8
これはスペイン・ヌーヴェルヴァーグの重要な1本で、なにスペインにもヌーヴェルヴァーグが?!と思われるかも知れないが『チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ』という本が出たように、そんなもの世界中であるのだ。かつて内戦をともに戦った仲間が再び集まりウサギ狩りに出掛けるのだが各人に秘めたる思いがありやがてそれは爆発してとんでもない結末を迎える。サム・ペキンパーが衝撃を受け、ルイス・ブニュエルはこう喚いた。「普通の台詞だ!」なんだ普通の台詞って、と思うが、ブニュエルはもっと明らかなメッセージがあると踏んでいたのだ。実際、サウラも「脚本にはなにもない」と発言しているのだが、しかしながら当然そこにはフランコ政権に対する批判が織り込まれてそれがあまりに自然だったために当局も、ま、いいっしょとゴーサインを出して作られたのだが世界は気付いた。ウサギ狩りは内戦のことであり、この映画はスペインそのものだ、ということに。若い義弟と娘以外はハゲ上がりショボくれたオッサンばかりなので見分けが付くまでに時間が掛かるかも知れないが、それは目を凝らしてよく見てくれという作戦なのかも知れない…なワケないか。ハゲの中にSF大好き人間がいてそいつが個人的にツボで突然ヨハネ黙示録を暗唱したりマネキンに刺した虫を撃ち抜いたりする。ボンクラだが射撃の腕だけは一流なのだ。バシンッ!別のハゲにそのハゲはシバかれた。鬱陶しいからだ。眼鏡の奥から睨み付ける。ヴァイオレンスまで秒読み開始だ。蒸し暑い夏のことで滴り落ちるオッサンの脂汗が半端ない緊張感生む(こちらでは)幻の逸品。
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