生酒冷造

裸のランチの生酒冷造のレビュー・感想・評価

裸のランチ(1991年製作の映画)
3.4
作家がラリってる時に、脳裡に見る幻想を物語にしたイマジネーションストーリー。
と、端的に書けばそれくらいなのだが、流石はクローネンバーグ監督の怪作です。

もっとも原作があり、原作者の興した事件をベースにしてるから、中々笑えない。。

ゴキブリ駆除剤に含まれる、ラリる成分を目当てに駆除剤をちょろまかす。
挙句、息でゴキブリが殺せる。
キモなシーンですが、この地点で幻想なのか現実なのか、はたまた過剰演出なのか区別つかない。
ただこの辺りから壊れた世界へのアクセルが入ります。
やがて始まるタイプライターがゴキブリのように、手足が生え顔も付いてくる。
本当に造型物がおぞましい。
コッポラ監督の映画「ヴァージニア」は夢のパートと現実のパートの色合いを変えたりしてますが、こちらはトリップした世界観も現実世界と同じ色合いで描いてるので、傍目途切れがない。
段々幅を効かせる幻想世界とともに、幻想世界のストーリーも支離滅裂になる。
けど、それがまた見てる側にも不条理小説を読んでるように気分が伝わる。
ある意味、ストーリーに意味を求めてもそもそも無駄な映画。。
ともかく真面目に分析するのも馬鹿馬鹿しいので酩酊した感覚で造型された世界。
それを普通ならチープに陥るか、ダレるか、飽きるかを、圧倒的波で上映時間を乗り切れるのは、やはりこの監督の頭のネジの違いが際立つからでしょうか。
生酒冷造

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