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ハリー・ポッターと謎のプリンスのmichikoのレビュー・感想・評価

3.5
ハリー・ポッターシリーズ6作目。
ヴォルデモート率いる死喰い人軍団の躍進にて深刻な状況となりつつある魔法界。店は襲われ行方不明者は続出。その影響は人間界にも現れ始める。常に結界で守られている魔法学園ホグワーツも安全とは言われているが、粛々と行われる授業の傍ら、何が起きてもおかしくない緊張が張り巡らされている。そんな中、父親が死喰い人軍団とされ逮捕されたマルフォイが暗躍しだす…。

本作はヴォルデモートの過去と弱点に迫るダンブルドア側と、堅牢なホグワーツの瓦解を目論むヴォルデモート側の知能戦といえるか。そしてこれまでハリーを敵対視し嫌な奴だが小心者という情けないマルフォイが遂に一線を超える。自分の罪と役割に耐え切れず追い込まれていく彼を、元々ホグワーツの生徒だったヴォルデモートの過去と並行で描く事で、闇堕ちするヴォルデモートを救えなかった大人達が今度はマルフォイを救えるのかといった見方も出来る。
これまで主人公である子供側が活躍する場面が多く、大人側の動きが見えづらかったが、長い作品を通し徐々に彼らの心情と思いやりが見えて来た。

最終決戦を直前に控えた緊張感の中、描かれる恋愛模様もようやく終着点か。紆余曲折あった彼ら彼女らの心の強さの源もしっかりと固まり、いよいよクライマックス感がある。
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