MASH

007/リビング・デイライツのMASHのレビュー・感想・評価

007/リビング・デイライツ(1987年製作の映画)
4.5
ティモシー・ダルトンの007初主演作。彼はこの作品を含め2作しか出なかったが、個人的には彼の演じるボンドがすごく好きだ。それまでの女好きの軟派なボンドとは真逆。とにかく硬派だ。女性に無闇に手を出さない真の紳士で、なおかつタフで男らしい。そして何より情に厚い。ダニエル・クレイグなんかは彼の影響を強く受けているように感じる。

ストーリーもすごく硬派だ。だが、それ以上に時代の変化を感じさせる。冷戦下を舞台にボンドがKGBやアフガニスタンのレジスタンスと協力していくのだ。それまでのイギリス帝国主義的な007とは一味違うストーリー。007というシリーズが時代とともに大きく変わっていったのが見て取れる。少し色々と盛り過ぎているようにも感じたので、何かひとつぐらいは削っても良かったかも…

だが、硬派になったからといって従来の良さを消してはいない。毎度お馴染みボンドカーに秘密兵器、笑っちゃうほどド派手なアクションの数々。硬派なストーリーの割にアクションはそれまでのシリーズ以上に派手になっていて、そのアンバランスさが非常に魅力的なのだ。残すべき部分を残しつつ007シリーズを進化させていったのはすごいと思う。もう少し評価されても良い気がする。

ただ、ティモシー・ダルトンのボンドはある意味完璧すぎるのかもしれない。女性に優しく紳士的。だけど強くて敵には容赦しない。個人的には理想のボンドだけど、ちょっと女好きのだらしないボンドも恋しくなってしまう。みんなが求めているのはそんなボンドだったのかもしれない。そんなことも感じさせる映画だ。
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