LalaーMukuーMerry

ミセス・ダウトのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

ミセス・ダウト(1993年製作の映画)
4.4
これは、「演じる」ことが幸福に結びつくことを教える、ロビン・ウィリアムズ主演の家族についての笑いと涙の名作コメディ。1993年の作品を遅ればせながら初鑑賞。
         ***
「本当の自分」という言葉をよく聞く。若い人はこの言葉に惹きつけられる気がする。誰だって嘘はつきたくない、自分の心に素直でありたいと思う。それは分かる。
          *
演技することはその対極にある。演じている自分は本当の自分ではないと思う。それも分かる。
          *
でも、人はみな、その立場に応じた振る舞いが求められる。振る舞いというのは「演じる」ことだ。社会の中でも、家族の中でも、あからさまに演じるのではなく、相手を考えて自然に振舞えば人間関係はうまく回る。相手のことを考えて振舞い続ければ、そのうちそれが当たり前になることだってある。当たり前になるってことはそれが本当の自分ということだ。
          *
人は(良い方向に)変わることができる。本当の自分探しと言っている間は、まだ変わることの素晴らしさをわかってないような気がする。(どこまで自分を出せばいいのか、その匙加減は難しい。これは人間関係が続く限り永遠のテーマではあるけれど…)
          *
家族は本音が言い合えるから、「本当の自分」を出したばかりに、相手を傷つることまでつい言ってしまい、かえって取り返しがつかない冷え切った関係になることだってある。愛情の気持ちがあったことに気がついて、後になって後悔することもある。
          *
親しき中にも礼儀あり。素晴らしい家族をつくる秘訣は、「本当の自分」を求めることよりも、「演じる」ことの中にあるような気がする。
         ***
旅先の自撮り写真をLineで家族に送ったら、「顔が固い」「苦虫おじさんになってるよ、気をつけて」と返ってきた。私は、直接お客さんの相手をする仕事をした経験がないので、つくり笑いの練習量が人よりずっと少ない。つくり笑いが自然な笑顔になるように、もう少し練習しなければ・・・