みーちゃん

遊星からの物体Xのみーちゃんのレビュー・感想・評価

遊星からの物体X(1982年製作の映画)
5.0
オープニングから印象的。事情は分からないが、大変な事が起きていることだけは伝わってくる。エンニオ・モリコーネの重厚な音楽との相乗効果で不穏な空気を感じつつ、雪原の映像が美しくて集中力が一気に高まる(ハスキー犬の演技が上手い!)。

物理的に、環境的に、そして精神的にも逃げ場のない状況で、あの"物体"の描写だけが異様に強烈なのが面白い。見てはいけないものを見ているような、なぜか恥ずかしいような、一周回って笑えるような…。且つ、色んな意味で、まさしく人間の内側が露呈されたように生々しくて、ドロドロしてて、正視したくないのに、目を逸らさず見つめなくてはいけない気がする。

1982年とは思えない技術であると同時に、あの時代だからできたリアルな表現でもあるかもしれない。
 
ラストは、実は鑑賞直後はフラストレーションを感じた。しかし、よく考えると、あの終わらせ方こそ、本作の魅力なのだと思い直した。

それを踏まえて、印象的なオープニングの意味を見返すと、ずしんと胸に響いてまた楽しめる。