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悲情城市のatyのネタバレレビュー・内容・結末

悲情城市(1989年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

映画館で見る侯孝賢。良くない訳がない。

動かないカメラで、バタバタと動く人々を見ていると、自分が透明になって、じっとしながら観察している感覚になる。そのためか俳優も、カメラを意識していないかのような自然な振る舞いで、みんな一般人のように見えてくる。そういう意味でちゃんと「人」を撮っている映画。

タイトルである悲情城市とは、舞台である九份のことだろうか。売春と裏金と襲撃と収監が頻繁に起こるこの街では、「悲しみ」が蔓延する。仲間が傷つけられ、家族が失踪し、ボスも倒れる。人が泣き叫ぶ映像が続く。しかし、不思議と陰鬱な気持ちにはならないのは、映像の美しさからか。

最序盤の出産のシーンと、後半の結婚式のシーンは、その悲しみの街にあるからこそ、輝いて見えるシーン。日常から抜け出すための、儀式と祝祭の大事さが良く分かる。

一番良かったのは音楽。あのタイトルが表示されながら、あんな音楽を聴いたら、ゾクゾクしないでいられない。劇中、要所要所でかかるこの音楽が、映画の特徴を強調しつつ個性的で、とても良かった。
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