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リリイ・シュシュのすべてのatyのネタバレレビュー・内容・結末

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

リリイ・シュシュという映画内歌手の導入によるカルト的人気の危うさ、日常をビデオカメラで納めるというストーリーによる素人臭い映像(光の撮り方が天才的)のノスタルジー、ファンサイトの書き込み音と文字表示、何度も差し挟まれる(シナリオと無関係な)主要登場人物たちが田んぼの真ん中でリリイを聴く映像。
これだけ特異で複雑なことをしているのに、全てがストーリーと映像と音楽(全てが良い)に効いているし、この映画を特別たらしめている。ずーっと眩しくて綺麗で美しいのに、内容はずーっと胸糞で苦しい、心の矛盾。2時間半もの間、心がギュッと締め付けられ続ける。

俳優たちが最高だった。特に市原隼人と蒼井優。役の特性上、表情のレパートリーは少ないのに、細かい動作や喋り方で機微が分かる。演技をしている素人の演技、とかも完璧にこなす。中学生っぽい不完全さみたいなものも表現されていて、「うわーーー」と声が出てしまう。

中高生のときに見ていたら、人生を狂わされていたかもしれない、最高で最低で最悪で最高な映画。

(Youtubeで10/12まで無料公開中です。)
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